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海辺で出会った彼女は、美しく饒舌で世界で誰よりも—— 死にたかった。

猫が戯れるのを眺めていた時椿は、断崖絶壁に立つ女性に声をかける。
飛び降りようとする黒髪の美女・十郎丸は、多くのヒット曲をてがける作曲家だった。
彼女は予想に反して、雄弁で自信に満ちた口調で死にたい理由を語ってのける。
人生で初めて出会った才能豊かな人間が堂々と死のうとしている事実に混乱する時椿。
なんとかその日は翻意させ、下宿に連れて帰ることとなる。

なぜか猫に嫌われる死にたい天才作曲家と、何も持たない大学生。
分かりあえない二人の、分かりあえない6日間が、始まった。






麻枝 准の生きている世界はこんなにも苦しくて、理不尽なものだった――。
『AIR』、『CLANNAD』、『リトルバスターズ!』、『Angel Beats!』、『Charlotte』、そして『神様になった日』。
これまで「泣ける」ことだけにこだわり創作してきた彼が純粋に書きたいものを初めて書いた処女文芸作品、緊急刊行。
読めば読む程に愛おしくなってくるのは、実にお見事
榊一郎(小説家)
拝読して最初の印象はとにかく『ものすごく中二病な小説!!』というものでした。
人生は生きるに値するか否か。自分がこの世に生まれてきた事は、喜ぶべきか、忌むべきか。この思春期には誰もが一度は考えたであろう、答えなんか出る筈の無い難題を、真正面から扱った物語。

物語の基本構造は比較的シンプルで、突飛な道具立ても無し、会話主体で、登場人物達の考え方が様々な場面で披露されていく――『これぞ小説!』という体裁。登場人物も少なく一人称文体なので、非常に読みやすい。
しかしそれだけにごまかしが効かないというか、一歩間違うと、ただエキセントリックなだけで不愉快な人物とのやり取りを、延々見せられる事になりかねないんですが。
傲慢な言動の中に、奇妙な幼稚さと愛嬌のある十郎丸(芸名)と、凡人の自覚がありながらも何とか彼女を救おうと悪戦苦闘する時椿(本名)のやり取りが、読めば読む程に愛おしくなってくるのは、実にお見事です。

幸福な人も、不幸な人も、ふと自分の人生に疑問を持って立ち止まった時に読んで貰えると、何か新しいものが見えてくるかも――そんな物語でありました。
これまでとは違う何かに到達しようと奮闘している麻枝 准を感じられる
仁木英之(小説家)
〇〇はレジェンドである。
偉大な、かつて憧れた存在に敬意を表してそう語られる。私の中でも麻枝 准をレジェンド枠にまつりあげてしまっていた。
もちろん、実作者として第一線で活躍していることは知っている。過去を振り返ってみても。ゲーム、漫画、アニメでの足跡を知らぬ者はいないだろう。
だが麻枝 准は初めて「小説」を書いた。
しかも、これまでの読者層から離れているかもしれない場所で、だ。
レジェンドとしてではなく、チャレンジャーとして筆を執ったと私は感じた。ゲームやアニメで使えたことが、小説では使えない場合があるし、その逆もまたそうだ。
手に入れた不自由と自由を武器に、これまでとは違う何かに到達しようと奮闘している麻枝 准を感じられる貴重な一作といえよう。
もちろん、これまでのファンでも楽しめる麻枝節はもちろん健在。安心して心揺さぶられてください。
優しく温かく誠実ゆえに、儚く切なく美しい物語
LiSA(シンガーソングライター)
産み落とされたこの世界で、明日まだ楽しいことがあるかもしれない。
私もそんな風に思わせてくれる出会いを繋ぎながら今日まで来たなぁ。と自分自身の人生に重ねながら読み進めました。
なぜ涙が出るのだろうと考えてみると、作品の中に麻枝さんを感じるからだと思います。
麻枝さんらしく優しく温かく誠実ゆえに、儚く切なく美しい物語です。
衝撃のラストに心奪われました
鈴木このみ(アーティスト)
世の中は窮屈なのに何故生きていくのかなと、誰もが一度は思う事にシンプルで身近なヒントをくれる一冊です。
生きる事は面倒臭いと言う十郎丸と、生きる喜びを教えようとする時椿。アンバランスな二人の言葉どちらともに共感を覚えながら、衝撃のラストに心奪われました。切なく美しい物語。
共に生きている誰かをふと愛おしく思える
楠木ともり(声優)
生きていて目の当たりにする出来事は、考えれば考えるほど理由がなく、無駄に感じるようなことばかり。
その積み重ねが"生"に対する虚無感に繋がる経験は、誰しも一度はあると思います。
しかし空虚な日常を愛おしく思うことで、深く関わらずとも共に生きている誰かを、ふと愛おしく思えるのかもしれない。そう気付かされる一冊です。
1度でもものづくりをしたことがある人には重く響く
やなぎなぎ(シンガーソングライター)
時折、創作をしている人の目を借りて、その人が見ている世界を覗いてみたいなと思うことがあります。
同じ風景を見て同時に撮った写真なのに全く違うものになっているような、世界の切り取り方が異なっている人。
麻枝さんも私にとってそんな存在でしたが、この小説からその一端を覗けた気がしました。
登場人物の言葉一つ一つから麻枝 准というフィルターを感じます。特に1度でもものづくりをしたことがある人には重く響くのではないでしょうか。
欲を言えばこの世界の成り行きをもっと見てみたかった気持ちもありますが、もう少しで掴めそうなところ、一歩届かずな存在がこの作品の魅力でもあるのかもしれません。
またこんな奇跡を見せてくれるのかと感情があふれ出る
喜久屋書店北神戸店
松本光平
いつ頃だっただろう。麻枝さんが「次はバンドをやりたい」と発信されていて、当時の僕はそれがピンとこず。
時が経ち「Satsubatsu Kids」がお披露目になった時は、こういうことか!と膝を打った。
今回の小説を読み終えて、かつて「Long Long Love Song 制作日誌、時々入院」の中で
「おれはどっちかのスペシャリストになりたかった。ゲームのシナリオは書けるが、小説は書けない。曲は書けるが、編曲はできない。つまり文章でも音楽でも独り立ちできない」と書かれていたことを思い出した。2016年のことだ。
今、僕の目の前には紛れもなく麻枝准「猫狩り族の長」という小説がある。
麻枝さんの作品を長く拠り所としている自分にとって、またこんな奇跡を見せてくれるのかと感情があふれ出る。
その生き方が、弱い自分を奮い立たせる力をくれる。

殺伐とし、生き辛いすべての人に。
世界への憎悪に満ちた「呪詛」か。
生きるという選択肢を選び続ける「人生讃歌」か。
その目で『小説家・麻枝准』を楽しんでほしい。
麻枝さん自身が、
自分の作りだすキャラクターに救われているように思えました
紀伊国屋新宿本店
久宗寛和
懐かしい、と最初に思い浮かびました。
私は「Angel Beats!」の世代だったのですが、当時、アニメを見て感じた切なさや苦さがそのまま『猫狩り族の長』からも感じられました。

クリエイターである十郎丸が訴える生きづらさが、麻枝さん自身の生きづらさでもあるのかもしれません。
それを励ます時椿はとても麻枝さんらしいキャラクターで、麻枝さん自身が、自分の作りだすキャラクターに救われているように思えました。

今までのKey作品の雰囲気は残しつつ、小説として麻枝さんの哲学めいたものがより深化した作品でした。
これまでのファンはもちろんのこと、より多くの読者の心に響くはずです。
タイトルの真意があかされた時、涙しました。
明林堂書店南宮崎店
河野邦広
出逢いの奇跡と涙の結末。
平凡な女子大生・時椿は祖父の手伝いで、謎の女性・十郎丸とある特殊な出会いを果たす。否応なしに5日間の共同生活を過ごした果てに・・・
コミカル調な会話ながらも、綴られる内容は痛々しく切実です。生き辛さを自覚している十郎丸、自覚していない時椿。わかる部分、わからない部分それぞれで、会話に引き込まれている自分が苦しくなりました。
結末もある意味予定調和ではなく、そちらに行くかと驚きながらもタイトルの真意があかされた時、涙しました。
この二人だから、このタイトルだからと思わせられた感動作。
どんな苦悩を抱えているかなんて外からは見えない
書店員
断崖絶壁で自殺寸前の美女「十郎丸さん」を下宿に連れてきた「時椿」という名の女子大学生の6日間のお話。才能溢れた作曲家の死にたい苦悩を理解できないなりに寄り添おうと懸命な時椿だが……。十郎丸の饒舌毒舌キャラが秀逸で二人の会話が非常に面白い。

終盤にじっちゃんに電話で相談する時椿。十郎丸さんの屁理屈をじっちゃんに打ち明けると、楽しい種明かしが。2人の軽妙な会話も漫才みたいで面白かった。
果たして時椿は十郎丸をこの世に繋ぎ止めることが出来るのか?

成功している人も幸せそうに見える人もどんな苦悩を抱えているかなんて外からは見えない。でもたった一人でも信頼できる人がいれば人は生きていけるのだろう。

考えさせられるラストであり、読後も二人の姿が目に浮かぶような優しい余韻が残る作品でした。
NEWS
2021.07.08
産経新聞に『猫狩り族の長』麻枝 准インタビューが掲載されました
2021.07.01
2021.06.11
2021.06.04
『猫狩り族の長』書店員さんの声を追加
2021.06.02
『猫狩り族の長』重版(第三版)決定いたしました
2021.05.19
『猫狩り族の長』書店員さんの声を追加
2021.05.17
『猫狩り族の長』書店員さんの声を公開
2021.05.17
『猫狩り族の長』本日発売
2021.04.27
『猫狩り族の長』発売前重版決定!
2021.04.12
『猫狩り族の長』公式ホームページ公開