『Job for a Rockstar』ライナーノーツ(麻枝 准)


 
1.Burn My Soul
一番最初にレコーディングした曲です。本プロジェクトでXAIさんにロックを歌ってもらうのはひとつの挑戦でした。それまでEDM曲で「歌うことの天才」を体現した歌声を発揮されていたからです。やはり一回目は上手くディレクション出来ませんでした。無理して地声で歌わせすぎてしまったと後悔。サービス開始前の予算のない中、もう一度チャンスが欲しいと伝えて、再レコーディングに。もっと自由に、特にファルセットになるところを多めにして録ってみたら俄然よくなりました。でもXAIさんの魅力を引き出しきれてはいない、もしかしたらShe is Legendではずっとそんな曲は書けないかもと思っていました。
 
2.Dance! Dance! Dance!
とにかくスクリームを入れる勇気が必要だった曲。アレンジ時点では入れる予定はなく、自分が無理矢理ねじ込んだとも言えます。今回はライブの動画が制作されることが決まっていたので、イントロでカレンちゃんがスクリームしている画が入れば、キャラ性で許されるはず!と信じて入れました。最初にその動画を観た時、格好いい!と思ったし、ハフバのイベントで鈴木このみさんが当て振りしているのを観た時「なんてライブ映えするんだ!」と衝撃を受け、一番の答え合わせになりました。入れて正解でした。アルバムVer.で最後の掛け合いが増えているのは、自分があとから「こうしておけばよかった!」と悔いが残っていたので贅沢にそれを晴らさせてもらいました。
 
3.ありふれたBattle Song~いつも戦闘は面倒だ~
この曲が三章のPV用として使われることに決まった時には、イントロから厳ついスクリームが入った曲で大丈夫だろうか…と不安だったことを思い出します。これだけShe is Legendの音楽性がユーザーに受け入れられる未来が待っているなんて、当時は本当に思ってもみませんでした。ハフバのライブでも再確認しましたが、ツインボーカルである強みがすごく生きている曲になっていると思います。鈴木このみさんは格好よく聴かせるテクニックをたくさん持っていて、それが強み。変な歌詞でも鈴木さんが歌うと格好いい。だから変な歌詞や格好よく締めて欲しい箇所は、大体歌い分けで鈴木さんに託します。
 
4.Pain in Rain
いくつかあった中から掘り起こしてきたストック曲。Aメロのギターが、三回ともパターンが違うところがすごく好きです。一回目は切なげにアルペジオっぽく、二回目はジャギジャギとした格好いいリフで、三回めはそのミックス。8小節ずつのギターのソロ交換も、片方が逢川、片方が茅森想定なので難易度も変えて弾いてもらっています。
 
5.オーバーキル
サービスが開始され、スクリームが受け入れられてることを知ってから書いた曲です。とにかくスクリームありきで、ヘヴィで、普段自分が聴いているような攻撃的な音楽をやってみました。ライブのゲネプロをリモートで見学させてもらったところ、とにかくライブ映えしていました。こういう曲をもっと増やして、未来のライブをさらに盛り上げていきたいなとその時に思いました。
 
6.過眠症
パワフルな曲は鈴木このみさんが映えるし、こういうダウナーな曲はXAIさんが映えるという、見事に声質も表現方法も正反対のふたりだなと思います。間奏に入る歌詞のないアドリブは当日その場でぶっつけ本番でやってもらうのですが、それも鈴木このみさんはパワフルで、XAIさんはエモーショナル。このアルバムを通して聴くとそれもわかってもらえると思います。そのふたりが揃った妙を。
 
7.Before I Rise(Acoustic Ver.)
そう、XAIさんの歌声の魅力はこれだよ!と言えるのがようやく録れた気がした曲です。和泉が熱心なファンになってしまうような、そんな唯一無二なカリスマ性を持った歌声だと思います。
 
8.War Alive~時にはやぶれかぶれに~
鬼滅みたいな曲を書こうとしたら、昔のB’zっぽくなった曲です。自分のデモからブラスは入っていました。歌詞もRUNを意識していて、こっちは「旧式の時計で計ったりするなよ」としてます。実在するアーティスト名が出てくるのも、サラ・ヴォーンが出てくる稲葉さんの歌詞を意識しています。ライブのゲネプロでも観ていて楽しかったので、ライブ映えする曲かもしれません。「たまには休もうね」とかこういう変な歌詞を鈴木このみさんはかっこ可愛く歌ってくれてるでしょ?
 
9.Muramasa Blade!
武術祭の曲、ということで真っ先に頭に浮かんだのがZAZEN BOYSのHonnojiだったんです。あんなオルタナティブなリズムとギターリフで始まるイメージで書きました。Particle Effectでもやってますが、サビの途中で転調するんですけど、#がひとつ増えるだけの近い調なので自然なんですよね。よくある転調なんでしょうけど、最近使うようになりました。「今日もご苦労さん」とかこういう変な歌詞も鈴木このみさんはかっこ可愛く歌ってくれてるでしょ?
 
10.終末のヒーロー
イントロからAメロでいきなり変な転調してますね。そのイントロやアウトロでは、和泉、東城、逢川、國見も一緒に歌ってます。ありふれたBattle Songからやり始めましたが、ライブ動画映えしますね。レコーディングは先に鈴木このみさんが録り、そのあとXAIさんがやってきて残りを録るのですが、最近はXAIさんのニュアンスを汲んでもう一度自分のパートを録ってみたい、と鈴木さんがトライします。本人も仰る通りふたり同時に録れるスタジオであれば「相手がそうくるならこう返すぞ」ということがリアルタイムで出来るのですが、今はまだ手が届きません。いつかそんなところで録れたらいいですね。
 
11.Judgement Day
この曲は明確にサビの一部としてスクリームが機能するように書いた曲です。なのでスクリーム役でもある朝倉は歌えないので、サビの歌い分けは必然的にこうなります。XAIさん本人が一番覚えていると思うのですが、他人事のように聞こえるので自分のことのように歌ってくださいと伝えたのがこの曲のAメロです。こんなどん底な気持ちになってもらいました。こんな若いふたりに「この世は牢獄で生きることが罰でも」という歌詞を歌わせる、それがShe is Legendです。
 
12.贅沢な感情
四章前編ラストで流れるVer.とは違い、すべてを録り直してます。歌唱はあのVer.でもすごくよかったのですが、それを越えるためにラスサビはこだわって、何度もトライしてもらいました。声優さんもそうなのですが、ヘブバンの現場では、リモート越しでも嗚咽が聞こえてきます。気持ちを作るのに皆さん、それぐらい役に入り込んで、ぼろぼろな姿で体当たりしてくれています。この時のXAIさんも同じだったはずです。最後に拍手を送ったのを覚えています。
 
13.Goodbye Innocence
他のイベント用に書いた曲なのですが、アレンジを経て、レコーディングしたら大化けした結果、ちょうど執筆し終わった水着イベントにとっておきたい!と思い始め、別の曲を急遽用意したりしてそれが叶った曲です。サビの2音ずつの交換がこんなに熱くぐっと来るものになるとは想像もしていませんでした。特にラスサビはドラムも大暴れするし、ラストの「ただきみだけ」を歌うふたりの声もあまりに切ないです。すでに2ndアルバムに向けて曲は用意していってるのですが、また自分でも驚くほど化ける曲が生まれてくれるのか、この曲を聴き終えた時点では不安でいます。1stに劣らぬよう頑張りたいです。
 
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